令和3年度税制改正ー法人課税②ー
1.人材確保等促進税制の見直し
コロナ禍による賃上げ及び新規雇用の促進、新たな人材の確保人材育成の強化を促す観点から、新規雇用者に対する給与を一定割合以上増加させた企業に対し一定割合を税額控除できる制度です。
改正前 | 改正後 |
要件 ・継続雇用者給与等支給額 対前年度増加額3%以上 ・国内設備投資額 当期の減価償却費の総額の95%以上 ・雇用者給与等支給額 対前年度を上回ること | 要件 ・新規雇用者給与支給額 対前年度増加率2%以上 ・雇用者給与等支給額 対前年度を上回ること ・設備要件は廃止 |
税額控除 ・雇用者給与等支給額の対前年度増加額の15%の税額控除 ・教育訓練費増加要件 当期の教育訓練費≧前期・前々期の教育訓練費の 平均×1.2を満たす場合は控除率を5%上乗せ ・法人税額の20%限度 | 税額控除 ・新規雇用者給与等支給額の15%の税額控除 ・教育訓練費増加要件 当期の教育訓練費≧前期の教育訓練費の平均×1.2を 満たす場合は控除率を5%上乗せ ・法人税額の20%限度 |
令和3年4月1日から令和5年3月31日までに開始する事業年度から適用されます。
2.所得拡大促進税制の見直し
雇用を守るため、賃上げだけではなく雇用を増加させる企業を下支えする観点から適用要件が見直されました。
改正前 | 改正後 |
要件 ・継続雇用者給与等支給額 対前年度増加額1.5%以上 ・雇用者給与等支給額 対前年度を上回ること | 要件 ・雇用者給与等支給額 対前年度増加額1.5%以上 |
税額控除 ・雇用者給与等支給額の対前年度増加額の15%の税額控除 ・継続雇用者給与等支給額の対前年度増加率が2.5%以上かつ、 教育訓練費増加要件 当期の教育訓練費≧前期の教育訓練費1.1倍を満たす場合は控除率を10%上乗せ ・法人税額の20%限度 | 税額控除 ・雇用者給与等支給額の対前年度増加額の15%の税額控除 ・雇用者給与等支給額の対前年度増加率が2.5%以上かつ、 教育訓練費増加要件 当期の教育訓練費≧前期の教育訓練費1.1倍を満たす場合は控除率を10%上乗せ ・法人税額の20%限度 |
令和3年4月1日から令和5年3月31日までに開始する事業年度から適用されます。
3.中小企業向け投資促進税制等の延長
・租税特別措置法による軽減税率(所得金額の年800万以下の法人税の税率15%)の適用期限を2年延長
・中小企業者等が特定機械装置等の取得をした場合に特別償却又は税額控除ができる制度を2年間延長
商業・サービス業・農林水産業活性化税制はこの中小企業投資促進税制と統合されます。
・中小企業経営強化税制は、中小企業者等が特定経営力向上設備等の取得をした場合に即時償却又は税額控除(7%または10%)ができる制度であり、経営資源集約化設備が追加されて2年延長されました。